
一般的にゴルフスイングは”脱力するのが良し”とされています。
また、他のスポーツでも”力みは敵”という言葉が使われています。
しかし、実際のところ、本当にそれは正しいのでしょうか?
やはり、ゴルフは筋肉を使うスポーツである以上、緩めることはより大きい出力を出すことに反するような気がしてなりません。
周りのゴルファーが当たり前のように「力んだらダメ」という言葉を発することによって、一種の麻痺を起こしていると私は考えています。
もちろん私自身はプロゴルファーでもありませんし、ティーチングのライセンスを持っているわけでもありません。
ただのゴルフ好きのおっさんです。
しかし、それでも近年の脱力ブームにはかなり違和感があります。
そもそも力みとは
一般的にゴルフで力んではダメだと言われている部位は「肩や腕、グリップ」になると思います。
逆に腹筋や下半身に関しては力を入れる(積極的に使う)ことを推奨する人は多いです。
その中で”肩の力み”に関しては確かに私も悪影響が多いと思っています。
過度の緊張で肩がすくみ上ったりしますが、力むとそれと同じような状態になってしまいます。
そうなると肩の回転がスムーズにいかず、ヘッドスピードが落ちたり、クラブの打点がずれたりする原因となります。
ですから、”肩部分に力を入れるのはゴルフにとって効率的ではない”というのは私自身もすんなり納得できます。
しかし、グリップの力感はまた違う話になってきます。
クラブと体の接点
グリップを握る力は人によって全然違いますが、一般的には「脱力したほうが良い」とされています。
これに私自身がものすごく違和感を覚えてしまいます。
本当にそうなのでしょうか?
もちろんグリップを握りつぶすぐらい力を入れろとは言いませんが、やはりある程度の力感はグリップに必要だと考えています。
だって、グリップはクラブと体の接点になるんですよ。
そこを緩めるのっておかしいと思いませんかね?
クラブをコントロールする
グリップを緩めるとおかしくなるな~と感じる一番大きい理由は「緩く握るとクラブのコントロールが効かなくなる」という点になります。
というより、”力み”というのは何かを調整したり(アジャスト)、コントロールしようとするから起こるもんだと思いませんか?
緩く握るというのはある種それを放棄することになりませんでしょうか。
「正しいスイング軌道(オンプレーン)に乗ればクラブの動きにそのまま身を任せる」みたいな話が出てきそうですが、その軌道に乗せるにはコントロール(力み)が必要ですからね。
また、ゴルフクラブを使っている以上、完全に脱力することはできません。
(まずクラブを持ったり、持ち上げたりしないといけませんからね)
たまに超初心者ゴルファーが打ちっぱなしなどの練習場で、ボールと一緒に「ゴルフクラブを放り投げてしまう」ことがありますが、これは明らかに脱力が原因ですよね?
だから、そもそも完全にグリップ部分を脱力することなんて無理なわけなんですよ。
インパクトの衝撃
脱力を推奨している人があまり触れない点なんですが、スイングしてボールとコンタクトする瞬間に結構な衝撃が手元にかかってきます。
ドライバーなどではヘッドスピードにもよりますが、約1トン近く瞬間的なエネルギーがかかるため、その衝撃に耐える必要があります。
また、アイアンやウッドは地面にあるボールを打つことになるため、ダフった時にグリップの力が抜けていると手首のケガに繋がります。
さらに言うと人によって握力そのものが全く違います。
単純な話、握力100キロの人が軽く握るのと、握力20キロの人が本気で握るのと、どっちのほうがグリップ圧が強くなると思いますか?
おそらく握力100キロの人のほうがグリップ圧は強いでしょう。
だから、ゴリゴリマッチョな人が「グリップは軽く握った方がいいですよ」っていうアドバイスをしたとしても、その人と同じようなグリップ圧になることは絶対にありません。
シャフトのしなり
「脱力して手首を柔らかく使った方がクラブはしなる」という人もいますが、そんなわけありません。
クラブのしなりは手元側とヘッド側の両方に同じ方向へ力が加わらないと発生しません。
これ実際にやってみるとよくわかるんですが、手元(グリップ)側を緩く握ってクラブを揺らしたところで「クラブが動く」だけで全くしなりません。
逆に手元をしっかり固定してクラブを揺らすと、ヘッドの重みで力が加わり、クラブがしなることがよくわかると思います。
これは物理的な話なので、誰も否定することはできません。
緩く握ってしなるクラブもありますが、それはシャフトがとても柔らかいだけです。
あまり鵜呑みにしないように
私がこの記事で伝えたかったのは「なんでもかんでも鵜呑みにしない」ことです。
中には脱力したことでゴルフのスコアが良くなったという人も一定数おられると思います。
それはすごいことですので、私自身も否定するつもりはありませんし、そのまま脱力スイングを続けていけばいいと思います。
しかし、脱力を始めたことでスイングやショットが無茶苦茶になることだってあるわけです。
私なんかは”力を抜きすぎて”「シャンクが止まらなくなった」こともたくさんあります。
脱力の弊害に気づいてからはできるだけグリップ圧を強めにすることを意識しています。
大事なのはグリップ圧を一定にすること
脱力していようが、力んでいようが、大事なのはスイング中のグリップ圧を一定にすることです。
ゴルフのスイングは手首の動きがとても複雑ですし、短い時間で素早く動かす必要があります。
ですので、グリップ圧を一定にするのは意外と難しかったりします。
でも、グリップ圧を一定にできなければ、スイング中の遠心力に「負けたり・勝ったり」することになります。
遠心力と引っ張り合うバランスが崩れてしまうと、打点やスイング軌道がズレる原因となってしまいます。
だから、本来であればグリップ圧の強さうんぬんよりもグリップ圧を一定にしなきゃいけないことをもっと強調しなければなりません。
ゴルフは複雑で難しいスポーツなので、「適当なこと言っててもそれっぽく聞こえてしまい」ます。
非常に残念な面ではありますが、これからも「脱力した方がいい」という人はいっぱい出てくるでしょう。
なんとかそういう流れが少し変わらないかなと期待しつつ、この記事を書いたしだいであります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。