
ゴルフはそもそもボールにコンタクトするのも難しいですが、さらにはそれをコントロールする必要があります。
そして、基本的にゴルフボールはクラブの特性上、目標方向にまっすぐ飛ばす(サイドスピンゼロ)のは無理だと言えます。
なぜなら、あの有名なベン・ホーガンやジャック・ニクラウスも「無理」と言っていたほどの技術と精度が必要だからです。
そういった意味ではボールをまっすぐ飛ばそうと頑張っているゴルファーはそもそもの認識を改める必要があるかもしれません。
実はゴルフはまっすぐ飛ばさなくてもいいスコアで回れますし、むしろプロゴルファーやシングルプレイヤーは意図的にボールを曲げてショットをコントロールしています。
これは初心者やアマチュアゴルファーも参考にすべき点であり、自分の思った方向に曲げれるというのはゴルフをやるうえでとても心強い武器になります。
特に自分のベストスコアがかかった場面や競技などで相手と競っている場合には、極度の緊張状態にさらされます。
こういった状況で例えば、左に曲げれる=絶対に右にはいかないという保険が効くのは非常に大きいことです。
まあ、意図的に曲げるのも普通に難しいのですが、それでも普段の練習から意識しないとできるようになりませんので。
ボールの回転
ゴルフボールの回転にはいくつか種類があります。
初心者の場合はまず言葉を覚えるのが大変だと思いますが、なんとか頑張っていきましょう。
スライス
飛球線方向より右側に大きく曲がっていくのをスライスと呼んでいます。
初心者ゴルファーの誰しもが経験する回転ボールになります。
上に吹き上がりやすく、ボールが止まりやすいのが特徴になります。
そのため、ドライバーでスライスしてしまうと恐ろしく飛びません。
たまに勘違いされている方がいるのですが、右方向に飛んでいけば「なんでもスライス」というわけではありません。
打ち出しの方向が自分が思っていたより右方向に飛んだ場合には「プッシュアウト」と呼ぶことが多く、さらにそこから右方向に曲がっていくと「プッシュスライス」という球筋になります。
スライスとプッシュアウトは球質が全然違いますので、混同しないようにしましょう。
フック
フック回転はスライスと真逆になります。
飛球線方向より左側に大きく曲がっていきます。
こちらはスライスとは逆でボールが低く飛び出しやすく、かつバックスピンが少ないのでよく転がります。
そのため、ドライバーなどではフック回転の方がよく飛びます。
こちらも”はじめから左方向に飛んでいく”のと、”途中から左方向に曲がる”のとでは、球質が大きく異なってきます。
ドロー・フェード
左に曲がるのがフック、右に曲がるのがスライスですが、それらよりも曲がり幅が少ないドローとフェードという曲がり方もあります。
厳密にサイドスピンがいくらとか、曲がりが何ヤード以内とか、そういった定義はありませんが、目視だとほとんどまっすぐに見える球種のことをドローやフェードと呼ぶことが多いですね。
ほとんどのプロゴルファーがこちらの球筋を持ち球にしている or コースによって打ち分けています。
そして、持ち球によってドローヒッター・フェードヒッターと呼ばれたりします。
なので、アマチュアゴルファーが目指すべきところは自分の持ち球を見極めることになります。
ドロー・フェードを打ち分けることができれば最高ですが、おそらくどちらかが得意でどちらかが不得意になると思います。
ちなみに私はドロー・フック系のボールが打ちやすく、フェード・スライス系が打ちにくいです。
これに関しては後述するスイング軌道が関係してきます。
曲がり方のまとめ
ボールの曲がり方をまとめたモノを図にしてみました。
自分が練習で打った球がどれに該当するか意識しながらやるとすぐに覚えられると思います。
なぜ曲がるのか?
ボールの回転はクラブヘッドとボールとの摩擦によって発生します。
そして、これにはクラブフェースの向きが大きく関係してきます。
フェースの開閉
フェースの向いている方向にもいろいろ名前がついています。
基本的に「目標方向に対してフェースの向きがどうなっているか?」
- スクエア(まっすぐ)
- クローズ(閉じている)
- オープン(開いている)
の3種類になります。
スクエアは”目標方向にまっすぐである”ということで問題ないと思いますが、クローズ・オープンに関しては初心者の方にはわかりづらいと思います。
右打ちのゴルファーを基準にすると、
目標方向よりフェース面が左側を向いている場合をクローズ
目標方向よりフェース面が右側を向いている場合をオープン
と呼んでいます。
捕まえる・逃げる
たまにボールが捕まった・逃げた(滑った)とかいうこともあるのですが、この場合では
捕まった=クローズ
逃げた(滑った)=オープン
という認識になります。
基本的にゴルフクラブは何も考えずにスイングするとフェース面がオープン側に行きやすく、クローズ側(閉じる側)にプレイヤーが力を加えていく必要があります。
閉じる方向にフェース面を動かす感じが「ボールを包み込むような感じ」になるため、捕まえるという表現をするようになったみたいです(たぶん)。
捕まえるにはしっかりクラブに力を伝えなければいけないため、(方向性は無視して)捕まえれば捕まえるほどボールは飛ぶようになります。
逆に逃がす方向にすればするほど、ボールは飛びにくくなります。
ですから、初心者ゴルファーはまずボールを捕まえる練習からやっていくことが多いんですよね。
ボールの打ち出し方向
ショットをしたときにボールが飛び出す方向(打ち出し方向)は、クラブヘッドのフェース面の向きが大きく関係してきます。
というより、打ち出しの方向はほぼフェース面の向きで決まると言われ、どんな振り方をしたとしても、インパクトの瞬間のフェース面の向きに依存することになります。
昔はスイングの軌道(クラブを振った方向)に依存すると言われていましたが、ファントムカメラなどインパクトの瞬間を超スローで見れる技術の登場により、フェース面の向きが重要であることがわかりました。
ですので、ゴルフスイングはフェース面の向きが非常に重要であり、このフェース面を基準のボールの回転を考える必要があります。
軌道とサイドスピン
ボールの回転には摩擦が関係していると書きましたが、この摩擦はフェース面の向きとクラブの通り道(軌道)のズレによって発生します。
つまり、「フェース面に対するクラブの軌道」が重要になってきます。
- フェース面に対してクラブの軌道がインサイドアウトの場合はフック回転
- フェース面に対してクラブの軌道がアウトサイドインの場合はスライス回転
これをよく勘違いするのですが、スイング軌道と「フェース面に対するクラブの軌道」は全くの別物になります。
たとえ、スイング軌道がインサイドアウトであったとしても、クラブのフェース面が思いっきりオープンになっていれば、「フェース面に対するクラブの軌道」はアウトサイドインとなり、右に飛び出した後スライスしていきます。
(これが俗に言うプッシュスライスの原因です)
なので、インサイドアウトに振ってるのにドローやフックにならないのは単純に「フェース面のクローズが足りない」ということになります。
ボールの曲げ方
ここまで理解するとどうやったらフックボールやスライスボールが打てるのかなんとなくわかってくると思います。
極論を言えば、どのようなスイング軌道だろうと、フェース面を思いっきりクローズにすれば絶対にドロー・フックになりますし、フェース面を思いっきりオープンにすればフェード・スライスになります。
もちろんこれはボールの飛び出し方向を無視した話になります。
実際にゴルフのスコアメイクに役立つボールの曲げ方は
- 左に打ち出してフェードボールで真ん中に帰ってくる
- 右に打ち出してドローボールで真ん中に帰ってくる
という球筋になりますが、なかなかそれを習得するのには練習量が必要です。
意図的にボールを曲げることをインテンショナルフック・スライスと呼びますが、これらを打つ方法は人によって様々です。
ですから、フェース面の向きとフェース面に対するクラブの軌道を意識しながら、いろんな球筋を練習してみましょう。
まとめ
これまでボールの回転方向や曲がり方について解説してきました。
- 途中から大きく右に曲がるのがスライス
- まっすぐ右の飛んでいくのはプッシュアウト
- 途中から大きく左に曲がるのがフック
- まっすぐ左に飛んでいくのは引っ掛け
- 曲がり幅が小さいのがフェードとドロー
- ボールの飛び出し方向はフェース面の向きで決まる
- フェース面に対するスイング軌道により、曲がり方が決まる
という部分をしっかり理解するようにしましょう。
実は今回の解説では話がややこしくなるのでギア効果というものを省力していました。
このギア効果もボールの回転に大きな影響を与えます。
詳細が知りたい場合は
ゴルフボールの回転は非常に複雑であり、初心者ゴルファーが曲がり方をいきなり理解するのは難しかったりします。 ちなみに過去記事では”スイング軌道とフェース面の関係によるボールの曲がり方”を解説しました。 実はその時にあまり …
ご参考になれば幸いです。